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 ポンチャン.com   
  



松竹梅 

一本松から大和魂を自然とともに重ねる





お正月の植物として使われているこの松竹梅.冬でも緑を保ち寒さにも

耐え抜き、又、寿命も長い事からめでたい時の慶事に使われている代表的

な草木である。昔から絵や歌集などにも利用されて来ました。

特に松は庭木の王様のように慕われ.特別な植物として扱われてきました。

聞き覚えのある赤松さん黒松さんなど。


@松の枝ぶりに


旅の道中少し離れた場所に1本の小さい松があり.その廻りに大きな雑木林があるといたしま

したら.おそらく私はこの1本松を目を細めたり.また見開いたりしてそこに長く佇む事になる

でしょう。全ての物を鑑賞するときにはすこし距離感を取って見ると.全体の雰囲気が良く

読み取れる。しかし近距離から細かいところまで気を配ると.又新しい不思議な発見が

あるものです。



私の松好きには特別な理由なんてありませんが.家にも小さな光触媒の松を.光の当たら

ない一番高いところに飾っております。

その小さな松を遠くから眺めますと.部屋に照らされる光の反射によって薄く光沢を反射する松は

.私の本能を満足させてくれています。

又写真機で画像調節して見る松のいでたちの上下の枝ぶりは.まるでその空間に吸い込ま

れて行くかのようです

例えば私がもっとも印象に残っている映画“シェーン”の遥かなる山の叫びの音楽を聴く時のあ

の音調の起伏に何処となく似通っている部分もあります。

しかしこの1本松から受ける力強さは.見る者にとっては己が長きに生きていく上での無言

のエネルギー源になることは間違いありません。


物を鑑賞するのに理由なんてないかも知れませんが.何故にこれほどまでにこの1本松の

枝ぶりに心が奪われそうになるのかと言うその謎解きは.おそらく永遠の課題として.こ

の1本松の凛々しい姿、品位、勇姿、重味、や優しさ、そして孤独感と言う性質も無上の

存在の底に秘められているような気もしてきます。

雨に打たれ、積雪に耐え、太陽に輝き

それが日本の松竹梅の1つ松です。まさに大和魂を自然とともに存在をかさねたものと

言えるでしょう。




A幼少の頃の記憶


ここにきて私の幼少時代の原風景からのイメージも浮かび上がってまいりました。

幼少の頃皆で遊んだ松林は.左右立派な枝ぶりに圧迫されるほどの神界であった。

顔に深く皺が切り刻まれた老人達も松の幹に手をかざしこころ癒されていたあの界で、

子供たちは松ぼっくりがいつ開くのか.今か今か首を長くして待っていたものでした。




B多かれ外見で判断する

私はおそらく外見からは何不自由もないかのよう見える.いでたちとは対照的に私は

衣の中に宿している扉を開けようとしない.それは私だけの貴重な人生の秘密部屋

でもある。

ここにある1本松を鑑賞するときの心の動揺があるからこそ、心層に光が照らされ癒されるの

ではと思います。

人は皆それぞれの生きてきた証しとして.それによって物を鑑賞するときの感情の開きが

異なるのは当たり前の事だと思います。

例えばここに何気ない葉っぱの大きな鉢植えがあります。

普段、特別に感動と言う沸き立つものは感じませんが、しかし今の

この時期、つまり5月半ばを過ぎる頃から末にかけて観察して

みると.新芽が渦を巻くようにして顔を出し始めているように見えます。

この大きな葉っぱの根っこに.この植木に秘められたすばらしい

秘密部屋があることを知った私は心があわただしくなって

参りました。なんだか葉っぱを丁寧に拭いてあげたくなりました。。

人間も植物も全ての内面には、外見以上に大きなエネルギーが

隠れているのですね。

人間も含めて動植物の成長段階の力強さは、自然界から受けた

大きなエネルギーを根源としているのですね。
葉っぱ





C大きな決断の朝


想えば、私は金銭的には大変恵まれていましたが.しかし外見の華やかな雰囲気とは全く違う

裏の顔もありました。

命も短くなるほど頑張り過ぎて.その挙句まだ若かりし頃病に罹り、その病気すら理解

されない、また理解しようとしない境遇の中にいました。

私はそれまで築き上げてきた全てを棄て.経験と冒険心だけを頼りにして、

ある日のまだ人の気配がしない早朝.大きなボストンバックに衣裳を詰め込んで大都市東京に

やって来ましたが、大学の息子に連絡もしないで来ましたので、その日は会えず、

私は田園都市線の見知らぬ町の薄暗い露地をさまよいながら、やっと見つけた食べ物屋さん

の椅子でウトウトしながら朝を迎えた。

これが上京初日でした。



D気持ちの焦りで心の痛手      

その後気持ちが焦っていた私は芸能事務所が見つかるまで.昼間は慣れないマネキンのお仕

事に汗水流して働いていた。

このなけなしのお金18万と言うお金を.某プロ事務所の募集誘惑で騙し取られました。

売り込みの為に撮影したというプロマイドの写真を見せて下さいと言って.三ヶ月ぐらいそこに

通いましたが相手は言い訳ばかりで.その写真を私が見ることは最後までなかった。

もしかして?

薩摩の女として生きてきた.義理や人情の厚い私の性格がどうしても納得行かず、

私はこれを最後だと決意して.その事務所の入り口に立ったその時.私が目にしたもの、

それは上京まもない私の心の中の焦りを見抜き.弱音に付け込んだ卑怯なやり方をした

この女社長の・・・・哀れな姿だった。

私は古びれたビルの螺旋階段を一歩一歩下りながら.大都市の濁った空を見上げて途方に

くれていた。何故か涙など一滴も出なかった。

遠くで救急車の音が聞えた。

普段は何気ない音でもこの日に限って.その音は大きく私の耳元に残った。

人様が人を助けているのだなと考えたら.体の中の思い重圧が少しは軽くなって来たような

気がしてきた。

その日、渋谷の道元坂を下りながら.私は上京すぐで心の焦りの責任もあり.人を見抜けなか

った愚かさに自分を幾度となく責めたけど.どうにもならないあの日の自分は気の向くま々地下

鉄に乗り浅草の方へ出向き祈りをした。

よーしこれからはまず人間観察だ.もう後戻りなどできない。

負けてたまるか私は根っからの薩摩おごじょだと自分に叱責しながら誓った。

そこは線香の煙が私の体全体に漂う浅草寺寺院前だった。

その後私はこれをきっかけに毎月のように浅草の浄土真宗へと通うようになった。

これからもこれまで経験したことのない人生の岐路に立つ日もあるだろうか。

そして顔はコンクリートのように水分のない.上京直ぐで途方にくれたこのつらかった経験が.や

がて小さな悲しみとして時にはうっすらと脳裏を掠めるだろうーー



E分厚い封筒にーーー涙

そんな日々の中でも.渋谷の店先で偶然出逢った女の方と.人間的なお付き合いをする中

ある日その方がひょっこりと私の家においでになりました。

そして仕事が少ない私を知ってか.分厚い封筒を持って私に無言で手渡しされようとなさいま

したが.それを頂戴する事は私の性格上できませんでした。

その時は相手さまの誠意に胸が張り裂ける思いで感謝で一杯でした。

そしてその後長野のご自宅にご招待くださいまして.沢山の手作りのご馳走を頂きました。

私はこの優しさにいつまでも心を打たれて.彼女さんがいつか困ったら夜中でもお家を訪ねて

会いに行こうとその時に決心いたしました。



Fあれから永い年月は過ぎ去りて  平成28年5月末

私は今日まで多くの経験から廻りに流される事はなく.人間観察は目力と精神を鍛え.

そして自分の経験から生まれた明確な言葉を発言することが私の使命であると知りました。

どんな逆境にあってもいかなる困苦に直面しても.屈しない精神力を私はこれからも持ち続

けて行くであろうかと思います。

そして弱い立場の人たちの力になれたら.それが私の心が一番喜ぶ事であり.これからも信

じた道を突き進みたいと思っております。 

私はブライベートではいつも単独行動で.心の中にこの風雪に当たっても変わらない松の強

さや優しさから自分を駆り立ててくれそうな気がいたします。

それによって自分をもっと磨く事によって、人様の価値感と言うものも今までと

違った角度から見えてくるのかも知れません。

最後になりましたが世界の飢えている人たちや.又子供たちに決して大人の悪を見せてはな

らない平和な世界であって欲しいと切実に願います。


水、太陽、雨、土のおかげで

私たちは自然に対する感謝の気持ちを

もっと持ちたいですね。

私たちが生きていくために欠かせない食べ物は

農業によって支えられています。
             
農作物が喜ぶ
            
日本の夏がやってくる
              
そして
               
日本の松竹梅の松  


                 5月末 


 


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     エッセイ集目次

1 私の日常生活

2、薩摩おごじょ

3、国内の旅


4、海外の旅

5、自転車日本縦断の旅

6、普賢岳の千羽鶴

7、阪神淡路大震災

8、私の服飾観


9、命が延びる食生活

10、思い出は霧に包まれて

11、世界で一番大好きな


12、高隈山 戦争


13、松竹梅 一本松