今から四年前にインドから不思議な細工をした
アンティークのようなそんなネックレスが届いた。
それは紛れもなく歴史好きで親孝行の息子から
私への温かい心のプレゼントだった。
その石こそが私好みの群青ラピスラズリという貴石だった。宝石の事を
まだ深く勉強をしていない私は2つ送ってきた一つを妹に譲った。
それから間もなくして、私が上野の駅前の信号に立ち止っている時に、
春の突風のような吹き荒らす風にのって舞い込んできた薄汚れた一枚
の紙が私の足元の近くに落ちて踊るようにしていた。
何気なくそれに目を向けると、汚れた紙の隙間からわずかに見える
ラピスと言う字が私の目に入ってきた。どこかで聞き覚えのある言葉だ。
どこだったかしら?
そうだ。あれは私の誕生日に遠いインドにいる息子から、私にプレゼント
をしてもらっていたあのネックレスの名前だ。間違いない。
あの時は海外からの電話で聞き取れなかったけど、今かすかな記憶が
蘇ってきた瞬間である。喜びが胸の中で少しづつじんわりと騒ぎ出して
きた。これはもしかしたらと思い、おそろおそろその紙を手にとって見る
ことにした。
何月の何日にこの近くの会館で、ラピスの講演があると書いてあり、
そしてメソポタミアとか難しそうな歴史の話が書かれていた。この薄汚た
一枚の紙ではあったけど、ラピスラズリと言う歴史の講演があるのを知ら
せて下さった神様にその時私は感謝いたしました。
(父が人間は外見ではないよ 心だよと教えてくれたあの言葉がその時に重なった)
とうとう待ちに待った講演の日がやってきた。歴史学者の先生方は地図
を広げて、みんなに分かりやすく講演をしてくださいました。一万年前の
気の遠くなるような古代歴史の講演の中で、古き時代のラピスロードの
話を聞かせて頂いた時には、私は深く感銘をいたしました。
ラピスは天空と言われているように、古代の人たちは日々の生活空間
にいつもラピスラズリの存在があることを意識して、天の神として敬い
生活をしていたのかと思いました。それに世界史が奥深いことを又改め
てここで知る事となりました。私の胸に飾っているラピスラズリのネックレ
スに気付かれて素敵なネックレスですねと褒めていただきました時には
恥ずかしうれしさでした。
それから歳月は過ぎて行きました。
六千年前から交易されていたラピスラズリ
金銀宝石を運んだラピスロード
そして又ラピスロードの要になったラピスラズリ
宝石として又貴石として最古の歴史と言われている
ラピスラズリ
古代の人々は地球からの贈り物の、このラピスラズリの神秘的な美しさ
に惹かれ、遠い昔アフガニスタンのバダクシャンから何千キロもあるメソ
ポタミアの方へと広がって行ったそうです。カイロのエジプトの博物館に
今も眠る
ツタンカーメン王の黄金のマスク
ラピスラズリの印章
十戒に刻まれていると言うラピスラズリ
王冠 指輪 首飾り 短刀見とれてしまいそうな禿鷹の胸
飾り
クレオパトラのアイシャドー
壁画
奈良の正倉院の宝物 紺玉帯
漆塗り八角鏡
七宝の瑠璃
などなど
その昔、ラピスラズリは古代王侯貴族のステータスシンボルだったそうで
すから一般の人たちには勿論手に入らなかったと思います。権力に支
配されてきたのは今も昔も変わらないのですね。物欲という人間の悲し
い災いの現実の中で人々は動かされてきたのです。
そして歴史は又再び新しい時代をつくり上げて来たのです。美しい地球
からの贈り物の宝石は昔から神が宿る霊石として崇められ、又タリズ
マン効果があると信じられて来ました。みんなより豊かに楽しく、幸福な
人生を送りたいと願うのは生のある限り人間みな平等だと思います。苦
しみ悲しみそしていつの時代も人間は幸せを求めて暮らしているのです
。
そして今私がお守りとして大事にしているラピスラズリ。
世界一の砕石場であるアフガニスタンの北東部バダクシャンの険しい山
奥で来る日も来る日も重労働に明け暮れる山男達の打ちおろす鶴嘴の
音が木霊のように聞こえてきそうな気がしてきました。
ラピスを使ったらいつも浄化します。石へのお礼です。他の石はどうなの
か分かりませんが、私の胸に飾っているネックレスは温かくなります。原
石は息をしているのですね。これからも私と相性のいいラピスラズリを大
切にしていきたいと思います。
私は今年も又灼熱のインドに行きます。息子の家族とともに良き旅
をしたいと思います。
そして道路にたむろしている家なしの子、大人たち、貧しい環境下で過ご
しているみんなに会って幸せの歌でも歌ってあげたいと思います。そし
て又パキスタンの近くまで足を延ばし最高の石を見つけてくださった石
屋さんに逢いに行きます。
ラピスラズリ
ムーストーン レインボー
トルコ石
カーネリアン(紅玉髄 べにぎょくずい)
ラピスラズリ石ネックレス
ラピスラズリ
ロードクロサイト(インカローズ 女性のシンボル)
|
私の服飾観 目次
ホームへ
, |