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インドへの旅 3 


街角で  


市場の細い路地で 橋の下で 街路樹の下で 道端で崩れかかった家の中で飢


えをしのんでいる人たちが大勢いることを私はこの目で見た。

私の知る限り、ここインドの貧困の実態は想像を絶するほどひどいものである。

どんなときにも貧困の重圧はまず社会の弱者と言われる人達にのしかかって来

る。

バラナシ 

物乞いの子供達は私を見ると追いかけてくる。

まるで戦後の日本が終戦になったときに、飛行場の近くに住んでいた子供達が物

欲しさとめずらしさに、アメリカのジープを追いかけてチョコレートを貰ったのとは

少し状況が違うとしても、こちらの子たちは純粋に珍しい物に心が引かれて行く

だけではない。

食べる物がなければ明日の命さえいやー今日の命さえ保証できないのである。

ですから甘えなど許されないのです。

まだどこかあどけさが残っている目のパッチリした小さな子供達が、国道の往来

するラッシュの中から、ひょっこりと顔をのぞかせる。

花売りの坊やです。額から流れる汗を腕で拭こうともしません。

それほどに一生懸命に家族の為に幼い子達は頑張っています。

次に見たのは可愛い顔をした少女達ですが髪がボサボサです。赤信号で停車し

ている車の間を駆け抜けて車に座っている私たちをめがけてやって来ましたが、

見ている私はヒヤヒヤです。ボロをまとった細い体の2人の少女が、

「マダム」と言って花輪を私の前に差し出した。

私は抱きしめて上げたくって心臓が止まるぐらい動揺しました。


そして一緒にいた現地人ガイドが路地のほうへ行く私を止めたのですが、振り切

ってそこに入って見ることにした。

市場の裏の片隅でゴミ拾いをしている汚れたサリーをまとった若い女性に遭遇し

た。私は彼女と同じ目線になって話してみたくなった。

3人の子供たちを育てている彼女は、2年前にムンバイに出稼ぎに行ったきりで

全く音沙汰のない夫を今も待ち続けていると言う。

しかし、薄汚れた顔の隙間から見えたこのお母さんの目は割れたガラスの窓に

さす光のように輝いていた。

母は強し本当にこの言葉がひったりだった。

 





海外の旅 目次

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   エッセイ集目次

1 私の日常生活

2、薩摩おごじょ

3、国内の旅


4、海外の旅

5、自転車日本縦断の旅

6、普賢岳の千羽鶴

7、阪神淡路大震災

8、私の服飾観


9、命が延びる食生活

10、思い出は霧に包まれて

11、世界で一番大好きな


12、高隈山 戦争


13、松竹梅 一本松