@その日は菩提樹の樹木に雪がポタポタと落ちていた
人力車には絵になる元気な恋人たち
素敵な笑顔を重ねてあげよう瑠璃の花
祈り通りは幸せ探すイエローボール
賑わい通りは悲しみ捨てるムュージュの花
始発の電車がプラットホームに近づいて来た
夢かと思いや王様の風貌の人たちがやってきた
枯れ果てた瑠璃の花が久しく咲いた咲いた
まだ夏は遠いはずなのに
A樹木を見上げるように見入っていた人よ
貴方は足音立てずに私に近づいてきた
威厳ある顔立ちの貴方はまさに雲の上の人
軽い会釈に声が出ず頬を染める人の妻
ラピスラズリ色のブラウスに我を隠しめかしこむ
闇夜の虫が光を求めるように今の私と同じ
車窓から見える貴方は大きなサングラスを外し
哀愁漂う表情で手招き続く胸打つ瞬間
曇りガラスの向こうにそそり立つ巨樹のシルエットに
別れのベルが鳴る鳴る行きずりの人よ
今忘れな草を飛ばしたいこの瞬間胸に迫る思い
さょならのさょうーならと目を閉じる瑠璃の花
B今年はサクラの樹木から雪がポタポタと落ちていた
時は過ぎ行き季節も変り早13年の歳月が過ぎ去りて
もしや貴方は遠い向こうの人かと頭を掠めながらも
貴方の面影を追って銀座 浅草 賑わい通り
誰かが声をかけたかと振向けば他国のメディヤが大型カメラを
向けて何度もポーズを頼む満面の笑顔の大吉の日
この街にくるとまた心が燃え立つ 逢いたいあの人に 逢いたい
あの日あの時いつまでもいつまでも手招きしていた貴方の姿が
夢になって消え夢になっては消え木枯らしはしりの朝
私に希望の一条の光をくれた天使よ
私の人生を一変させた奇跡の出会いに感謝の言葉
モチーフにした小袋に瑠璃の花を添えこの歌を夜空の星と
あなーたへ送ります
さようなら さようーなら ありがとう 瑠璃の花
A 取り壊されたカフェ
カフェから外を見ていたら
大勢のビジネスマンたちが帰りの道を急いでいた。
小さな花屋の前で 可愛い子供たちがはしゃいでいた。
私が微笑んでいたら可愛い女の子たちと目があった。
心がたまらなく温かくなってきた。
私はその場をずっと微笑んで見入っていた。
若いビジネスマンの人と目があった。
その人はグループから離れゆっくりと花屋の中
へ入っていった。
そしてカフェの中にゆっくりと入ってきた。
良かったらどうぞ
あぁ可愛いお花ですね
あの子たちみたいに可愛いですね
ありがとうございます
私は躊躇する事もなく素直にお花を頂いた。
駅の階段の下で私は名詞を渡し別れた。
立派な雰囲気のビジネスマンの人だった。
また彼の風貌にトレンディコートガ良く似合っていた。
縁があったら又どこかで逢えるだろう
3日続けて電話が来た。
「僕のお母さんに逢ってくれませんか」
驚いた私はとっさに
「マネジャーとなら行きます」とつい心にもないことを言ってしまった。
彼は小さな声で
「それならもういいです」と言って電話が静かに置かれた。
受話器に向かった私は呆然としてそこに座り込んでしまった。
あの時あの場所で私はかわいい子供たちを微笑んで見入ってい
た。
夕方家路を急ぐその道中カフェの中にいる私と偶然にも視線があっ
た。
彼は疲れた体を癒すかのように、花屋の中へゆっくりと入っていっ
た。
行きずりの私にお花をくれた優しい人だった。
きっとご両親を大事にする自慢の息子さんに違いないと思った。
私を信用して人生相談があったのかも知れないと思った時には、
もうその距離はすでに縮まることはなかった。
その頃の私は九州から家を出てきて途方にくれている時だった。
この大東京の空の下で今日も社会人として、通勤ラッシュに揺られ
頑張っているに違いない。
美しい思い出ありがとう。
名も知らない素敵なビジネスマンの人よ。
今はあの思い出のカフェも花屋も何処かへ行き、そして子供たちの
はしゃぐ元気な声ももう聞こえない。
耳を済ませれば
遠くから仕事を終えたビジネスマンたちの靴音が近づいてくるよう
だ。
寂しげな裏通りを通り抜けて見ると、濡れ落ち葉が北風に吹きちぎ
られて、人ごみの中へ向かって一斉に飛び散っていった。
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