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自転車日本縦断


11、震災前の神戸


峠を越えた私は長い下り坂を走り下り、山間の小さな集落をいくつか通り過ぎた。ここ

で川沿いにある甲賀の民宿を見つけた時には、もうどっぷりと日が暮れていた。

川のせせらぎの音に何故か無性に寂しさが増してきた。その夜は身近に水の流れる

音を聞きながら床についた。


翌朝、民宿の方と記念写真を撮った。奥さんたちが道路まで見送ってくれた。

22日には大阪に到着すると思っていたが、きつい山道が多くて思うように前に進まず

枚方市に到着した頃にはすでに夕暮れ時になっていた。仕方なく国道から露地に入り、

枚方駅に向かった。旅館やビジネスホテルはほとんど満室だった。途方にくれている私

を心配したある親子が旅館まで案内をしてくれた。


翌日、いよいよ大阪へと向かった。若かりし頃、5年間住んでいた大阪である。

私は知り合いの家に立ち寄るため都島本通りへと向かった。再会を果たした私は

大阪駅を通過して国道二号線に入り神戸へと進んだ。

神戸では子供たちが私の姿を見て何処までも追っかけて来た。私はカメラを取り出して、

子供たちと一緒に記念写真をとった(その翌年、阪神淡路大震災が起きた。)




次は、日本人もまだまだ捨てた物ではない

自転車日本縦断の旅 目次








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     エッセイ集目次

1 私の日常生活

2、薩摩おごじょ

3、国内の旅


4、海外の旅

5、自転車日本縦断の旅

6、普賢岳の千羽鶴

7、阪神淡路大震災

8、私の服飾観


9、命が延びる食生活

10、思い出は霧に包まれて

11、世界で一番大好きな


12、高隈山 戦争


13、松竹梅 一本松