峠を越えた私は長い下り坂を走り下り、山間の小さな集落をいくつか通り過ぎた。ここ
で川沿いにある甲賀の民宿を見つけた時には、もうどっぷりと日が暮れていた。
川のせせらぎの音に何故か無性に寂しさが増してきた。その夜は身近に水の流れる
音を聞きながら床についた。
翌朝、民宿の方と記念写真を撮った。奥さんたちが道路まで見送ってくれた。
22日には大阪に到着すると思っていたが、きつい山道が多くて思うように前に進まず
枚方市に到着した頃にはすでに夕暮れ時になっていた。仕方なく国道から露地に入り、
枚方駅に向かった。旅館やビジネスホテルはほとんど満室だった。途方にくれている私
を心配したある親子が旅館まで案内をしてくれた。
翌日、いよいよ大阪へと向かった。若かりし頃、5年間住んでいた大阪である。
私は知り合いの家に立ち寄るため都島本通りへと向かった。再会を果たした私は
大阪駅を通過して国道二号線に入り神戸へと進んだ。
神戸では子供たちが私の姿を見て何処までも追っかけて来た。私はカメラを取り出して、
子供たちと一緒に記念写真をとった(その翌年、阪神淡路大震災が起きた。)
次は、日本人もまだまだ捨てた物ではない
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