翌朝出発前、栃木県の黒磯方面に向う為に地図を広げて計画を練った。
市街地を離れて間もなくすると小雨が降ってきた。
レインコートも被らずに、そのまま白河、それから那須高原入り口を通り抜け、紅葉の
高原を想像しながら雨の中をぺタルをこいだが、登り坂が急だったために自転車を押し
て登ることになった。
間もなく黒磯市に入ろうとしていた。ここは山の中の長い上り坂で旧国道である。雨に打た
れて自転車を押してきた私の前方に突然大型ダンプカーが停まった。
中から男が私に向かって何かを叫び、そして今度はそのまま叫びながら車から降りて
私の方へと向かってきた。
そのとき前方から二台の乗用車が下ってきた。この男の前を車が通りかかろう
としているその時、考えるよりも先に先ず私の体が動いた。私は必死で自転車を押して
上り坂を上った。恐怖はもう頂点に達していた。恐さと寒さで体の振るえが止まらなか
った。坂道を登り切った私が、長い下り坂を疾走している時に目にしたのは、沢山の
ダンプカーが停まった休憩場だった。私は国道から農道に入って土手裏に身を隠した。
あのダンプカーが国道を走り抜けるのが見えた。
男は国道から私の姿を見つけたのかまた叫びだしていた。そして私は国道の下を通り
抜けて一軒の店から警察に連絡をした。
雨は激しく降り続けて髪は乱れ、靴はボチョボチョと水を垂らしていた。
パトカーが来た。私が見た男のダンプーカーはすこしグリーンがかっていた。
警察は無線で仲間に連絡した。私はパトカーにガードしてもらい、黒磯市のホテル入り口
まで送ってもらった。男の車のナンバーは見えなかったが、車の色だけはかすかに覚え
ていた。ホテルについても落ち着かなかったが、私は確かに生きている実感が沸い
てきた。
次は、草加市に到着
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