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自転車日本縦断


6、草加市に到着


翌日もあのダンプカーの事が頭から離れなかったが、気を取り直して走り出した。洗濯を

する心の余裕もなく、背中のリュックは濡れた洗濯物でとても重く感じた。

国道沿いの自動車会社の前を通りかかったとき、掃除をしていたそこの経営者とどちら

ともなく挨拶をした。事務所に通してもらってコーヒーやドリンクを頂いた。家族の方々と

記念写真を撮った。ここでも優しい人たちとの出会いと別れがあった。

私は宇都宮の方へ向かっていた。だが、道が悪くてなかなか前に進めない。おまけに

少しのんびりした気分になっていたら道を間違えてしまった。自転車が通れないぐらい

のせまい道幅だったために、近道をしようと土手の階段を上がった。

突然50センチ以上の段差があり、体が先走りジャンプした私はまるでサーカスの見世物

のようにうまく着地した。

宇都宮に到着した。

嬉しくって思い切り深呼吸をした。

そのとき通りかかった高校生に、宇都宮市の標識を一緒に写真を撮ってもらった。

その日は古い旅館に一泊した。


翌日は草加市にいる着付けの先生と会う約束をしていた。。先生とは私が着物学院に

勤めていた頃からの古いつきあいだ。

国道沿いにある草加市の先生の家まで後60キロぐらい、途中、私の芸名と同じ結城市

方面への標識を横目で見ながら走った。ここは結城紬の産地だ。

栃木と埼玉の県境にある利根川を越えた。越谷市を通り抜けると草加市に着いた。

先生は私の事を心配してくれて越谷に入ってからも、何回も電話をかけてくれたり、国道

沿いに立って待っていたりしてくれた。

自宅前の歩道には先生の知り合いの方達もいて、私はちょっと恥ずかしい気がした。

その晩、久し振りにゆっくりとお風呂に浸かりビールもご馳走になった。久し振りの再会に

話は尽きることはなかった。

翌朝、先生と名残惜しい別れをした私は、次の目的地である東京日本橋へと向かった。




次は、親切なお巡りさん

自転車日本縦断の旅 目次   








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     エッセイ集目次

1 私の日常生活

2、薩摩おごじょ

3、国内の旅


4、海外の旅

5、自転車日本縦断の旅

6、普賢岳の千羽鶴

7、阪神淡路大震災

8、私の服飾観


9、命が延びる食生活

10、思い出は霧に包まれて

11、世界で一番大好きな


12、高隈山 戦争


13、松竹梅 一本松