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自転車日本縦断


8、熱海から三島へ



神奈川県の国道沿いの歩道は長い草が生い茂って道へとはみ出していた。

厳しい道のりが長く続いた。途中、泉の園の長い橋を渡り終えると、米軍基地で有

名な厚木市に入った。

鹿児島を出発して14日目のことであった。


翌朝12号線を通り平塚で1号線に入る。そして途中、二宮町のお祭りを見ながら小田原

まで行った。そして135号線を湯河原、熱海と下ったのだが、土曜日とあって海岸沿いの

国道はオートバイの騒音で響き渡っていた。

私もその人たちと走ったのだが、途中から山間の旧国道で自転車を押して坂を上がった。

山間の古い温泉街を通り抜けて熱海へ着く頃にはもう夕暮れ時になっていた。

連休のためかホテルは何処も満員で、観光案内所で宿を探してもらうことにした

しかし、紹介された宿では、おかみさんが自転車で訪れた私の姿を見て、そ知らぬ顔を

して奥へ入って行った。

口がついているのだから、はっきりと断ればいいのにと内心腹が立った。

今日はこんな姿だけど、いつか東京に出てきた時に私は目一ぱいお洒落をして、この

すばらしい夏の熱海の花火を大勢の友と訪れて、このホテルに泊まることもあろうか

と想った。再び宿探しが始まった。多くの旅館をあたったが、この辺のホテルは一人だと

泊めてくれない慣習があると道端である人に聞いた。そして人通りの殆どない小さな

路地でようやく泊めてくれる旅館を見つけた。

翌朝宿のおかみさんたちに見送られた私は、熱海の中心部を通り抜けて、登り坂、

梅園を通過した。そして十国峠のほうへ行く手前から左折して、トンネルの上の道を

通った。料金所の前で、眼下に見える壮大な景観を眺め、私は長い長い下り坂を

下りた。途中いたるところで励ましの声援に励まされた。しかしあまりにも長い下り坂に

身も心も緊張の連続であった。そして長い山道を超えてやっと三島市に着いた。




次は、雨の中を突っ走る

自転車日本縦断の旅 目次







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     エッセイ集目次

1 私の日常生活

2、薩摩おごじょ

3、国内の旅


4、海外の旅

5、自転車日本縦断の旅

6、普賢岳の千羽鶴

7、阪神淡路大震災

8、私の服飾観


9、命が延びる食生活

10、思い出は霧に包まれて

11、世界で一番大好きな

12、高隈山 戦争


13、松竹梅 一本松